時々、急性化膿性耳下腺炎で来院される患者様がいらっしゃいます。耳下腺炎と、いってもムンプスウィルスが原因で子供の頃発症する流行性耳下腺炎、謂わゆる「おたふく風邪」と鑑別しなければなりません。先日も、『左アゴのほっぺた辺りが痛い、ほっぺの内側が腫れている。』と訴えて、20代女性が神妙な面持ちで来院されました。左ほっぺの内側を視ると、耳下腺開口部付近が赤く腫れ上がり、耳下腺を刺激するとじわぁ、と膿汁の様な液体が出てきました。(下記写真)

 

右側も視診、触診し、正常であることを確認しました。そして、「食事をするとき、痛みますか?」と、尋ねると、「痛いです。」と答えが返ってきました。これが決め手となり、左側急性化膿生耳下腺炎と診断し、抗生剤を投与しました。

耳下腺は、読んで字のごとく、耳の下にあります。ここで作られた唾液は、ステノン管という管を通り、ほっぺの内側から、流出します。従って、ステノン管や開口部に炎症があって、唾液が流出できないと、嫌な痛みがほっぺに走ります。この痛みを唾仙痛(だせんつう)といいます。流行性耳下腺炎は、子供に多く、ほっぺは両側が腫れます。急性化膿性耳下腺炎は成人でその多くは片側生、そして唾仙痛を伴います。唾石(ステノン管内にできた石)、腫瘍、などの直接的な原因がない場合、抗生剤で炎症が治まることが多いです。

ヒロデンタルクリニック