上顎洞炎(蓄膿症)は時々、歯痛となって現れる。
時々、上あごの奥歯の重たい痛みを訴えて患者さまが来院します。むし歯、歯周炎、智歯周囲炎、顎関節症等が原因として考えられます。しかし、そのどれも当てまらない不定愁訴の場合もあります。そして、もう一つ、上顎洞炎の可能性も考慮しなければなりません。
上顎洞とは、上あごの上方に位置する鼻腔と通ずる空洞です。この空洞は、個人差があって、大きさ、形(単房性や多房性)、位置が人によって全く違います。そして上顎洞の役割は、「吸い込んだ空気を濾過し、湿り気を与える。」と、いわれていますが、まだ完全に解明されていないのです。
さて、そんな上顎洞が炎症を起こすと、副鼻腔炎、蓄膿症ともいわれ、多くは鼻炎から波及します。専門用語でいうとOMC(ostiomeatal complex)の異常で起こりやすいのです。その他にも上顎洞の位置が低い人、そして迷路のような形態の人は、上顎洞に炎症を起こしやすく、その炎症は隣接した奥歯にも影響を与えることもあります。「上の奥歯に鈍い痛みがあります。」「温かいもの冷たいもので痛みを感じます。」「歯の奥の方がキーンときます。」など上あご奥歯の痛みを訴えて来院する患者さまが月に2~3人いらっしゃいます。もともと上顎洞は粘膜で被われ、さらに表層は線毛があります。健康状態、環境(気圧、気候)によって左右され、粘膜が肥厚したり、炎症を起こしやすいのです。
でも安心してください!そのほとんどは、上顎洞炎が治まれば、歯痛も治ります。