このレントゲン写真は、30代の女性の患者様です。

左下一番奥歯は破損により、保存が難しくなっています。

右下一番奥には、斜めに傾いた親知らずが一本残存していています。

保存不可能歯を抜いてインプラントにしますか?インプラントを選択した場合、抜歯をして抜歯窩を温存して、2~3ヶ月後にインプラントを埋入、根付いてくるのをもう3ヶ月待って、歯冠修復する。そうすると少なくとも6ヶ月は治療期間がかかります。そして何よりも、高価な治療費が必要になります。こんな時、発想を転換してみましょう!保存不可能歯と親知らずは非常に形が似てますね。そして損傷せずに抜けそうです。まさに歯牙移植に最適な条件です。

上は、②を抜歯した写真です。十分に歯根膜が付着しています。

歯牙移植とは、ドナー歯(ここでは右下の親知らず)に付着している歯根膜内に存在する『幹細胞』が鍵を握るのです。ドナー歯を母床窩内に挿入し、固定すると、自分の組織ですから、血管は再生され、細胞分裂、細胞増殖により、ドナー歯が生着し、結合してくるのです。メンテナンス、管理をしっかりすることにより、長い間維持することが可能です。『まさに究極の再生医療です。』更に成長因子(PRGF)を応用すると、成功率がぐっと上がるのです。

上の写真は、成長因子(PRGF)をドナー歯に絡めて、移植するところです。

移植歯が根付いてくると、歯根膜からの刺激は、受容体を経て脳に伝わります。それが、『噛み心地』『噛みしめる喜び』如いては、食事の喜びにつながってゆきます。『自分の歯で食べることって、どんなに幸せなんだろう。』

この治療法は、条件が揃わないと出来ませんが、優しく、人間らしい、最善の選択肢であると思います。

上のレントゲン写真は、手術を終えた後撮影したものです。まだ、根付いたわけではありません。少なくとも10年この場所で、歯として咀嚼に役立てば成功と考えます。

ヒロデンタルクリニック