奥歯は、2、3根の場合が多く、歯周病が進行すると、二股に分かれている(分岐)部位に、病巣を形成することがあります。歯周病菌にとっては、住みやすい場所であり、我々術者にとっては、厄介な場所です。それは洞穴のような形態で、歯ブラシの毛先は届かず、歯石除去も難しいところだからです。

この症例は、7年以上も歯周病をコントロールしてきたのですが、最近、度々急性炎症を繰り返すようになりました。今月、成長因子(PRGF)を用いた歯周組織再生療法を行いました。これは、歯周病によって失われた歯を支える歯周組織を再生させる治療法です。

まず、切開、歯肉骨膜弁を剥離、細菌に汚染されている病変部を掻爬、

成長因子を病変があった部位に注入後、成長因子と絡めた骨補填剤を充填、

そしてフィブリン膜で被い、縫合します。フィブリン膜は、創部を保護し、成長因子の足場(活躍するスペース)になってくれます。

この成長因子は、勿論自己血より採取された凝縮血小板血漿です。先の歯牙移植の項で論じたように、細胞分裂、細胞増殖、血管造成に働き、骨活性を刺激し、歯周組織の再生を手助けしてくれます。

ヒロデンタルクリニック